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増加する老老介護 問題点と解決法は?

こんにちはOGR事務局です

近頃ニュースで「老老介護殺人」「老老介護 追い込まれる当事者」といった見出しを目にする機会が増えました。コロナの影響下で外出の機会が減少し、デイサービスなどへの通所が難しくなり、社会と断絶された状況下には特に多く目にしたように思います。第三者に助けを求めることなく「介護うつ」になってしまう高齢介護者の方も少なくなりません。今回は「老老介護」とはなにか、老老介護の問題点と原因、解決法について考えてみたいと思います。

 

「老老介護」とは

現在日本では65歳以上の63.5%75歳以上の35.7%が老老介護の状態にあります。

65歳以上の高齢者を65歳以上の高齢者が介護している場合「老老介護」と言われます。

例えば、

・70歳の夫を66歳の妻が介護している

・80歳の姉を70歳の弟が介護している

このような介護形態を「老老介護」と言います。

少子高齢化にともない、介護者の高齢化も進んでいます。厚生労働省による「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、65歳以上を介護する人の6割超えが同じ65歳以上の高齢であり、いわゆる「老老介護」が昨年初めて60%を超えるという結果が出ています。

 

出典:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」

 

老老介護の問題点

体力的な負担

高齢者の介護では着替えの手伝いや食事の介助だけではなく、体の移動が必要な入浴介助や排せつ介助もあります。介護者が不安定な姿勢を保たなければならない作業が沢山あるため、体に大きな負担がかかります。また転倒したり、怪我をしたりするリスクも高くなります。

介護者が骨折などのけがをしてしまい、介護ができなくなってしまうなど、体力の問題から被介護者、介護者両者が共倒れになるリスクもあります。

精神的な負担

介護のひとつひとつの作業に時間がかかる上、体力を消耗するため、介護者の生活のすべてが介護になってしまいがちです。外出の機会が減り、友人やご近所など他者との交流もなくなり、なんでも一人で解決しなければならないというストレスを抱えやすい状況になります。誰にも相談できずに「介護うつ」になることも少なくありません。

介護に日々追われ、他者と会話することもなく、外出が減り運動不足になると脳の機能が低下し、介護者が認知症を発症するケースもあります。介護者、被介護者ともに認知症になり、「認認介護」になった場合、介護者の負担はさらに大きくなります。

 

 

なぜ老老介護が増えているのか

さて、なぜ近年老老介護が増加しているのでしょうか。

健康寿命と平均寿命の差

身近な人を頼りづらい

経済的な理由

 

1.健康寿命と平均寿命の差

平均寿命とは 0歳児が何年生きるかという平均年数。

健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のこと。

2022年に内閣府が公表した資料による2019年の平均寿命はと健康寿命は下記の通りです。

男性     女性

平均寿命  81.41年   87.45年

健康寿命  72.68年   75.38年

平均寿命と健康寿命の差は男性:約9年、女性:約12年です。つまり男性は9年間、女性は12年間自分一人での生活が難しかったり、介助を受けたりして生活しているということになります。

医療の発展により、平均寿命は年々伸びていますが、平均寿命と健康寿命の差が大きくなればなるほど、老老介護は増加します。

出典:内閣府|令和4年版高齢社会白書(全体版)

 

2.身近な人を頼りづらい

核家族化が進み、同居する家族が少なくなりました。また子ども世帯が親の居住地から離れたところで暮らしている家庭も多く、介護が必要な状態になっても助けを求められず、高齢者夫婦で老老介護をせざるを得ない状況のご家庭が少なくありません。

 

また「子どもに迷惑をかけたくない」「身内の世話は身内がすべき」という考え方が強く、責任感とプレッシャーから他人の協力を拒むケースもあります。自宅に他人が入ることへの抵抗感や、排せつや入浴などプライバシーに係わる介護は他人に任せたくないと一人で抱え込んでしまう方もあり、老老介護が増加する原因の一つとなっています。

 

3.経済的な理由

施設への入居やデイサービスの利用をしたくても、経済的余裕がないため断念して老老介護をしている場合もあります。生活保護を受給しているなど、金銭的な理由から老老介護を選ばざる得ない家庭がある現状もあります。

 

老老介護の予防と対策

老老介護にならないようにする予防方法と、対策についてお話していきたいとお思います。

普段からご家族で介護について話し合っておくという事と、居住地域のサークルに参加するなど、近隣住民との交流しておくことの2点が予防のポイントです。

1.家族でよく話し合っておく

2.地域のコミュニティーと積極的に関わっておく

1.家族でよく話し合っておく

元気なときからご家族と介護が必要になったときにどうするかをよく相談しておくことが大切です。具体的にどのような介護が必要になったら施設に入居するか、どの程度まで同居しているご家族で面倒をみることができるか、入居する施設の条件など、介護が必要になったその時に急いで探しても、何から考えたらいいのいか、検討材料はなんなのか、ぱっと浮かばないものです。介護が必要になった時に落ち着いて対応できるよう夫婦や親子で相談しておくことをおススメします。

 

2.地域のコミュニティーと積極的に関わっておく

日ごろから近隣住民と交流があれば、立ち話をしている時などに「いつもと様子が違うのでは?」と小さな変化にも気づいてもらえます。情報交換もできますし、困ったことできたとき協力をお願いしやすくなります。子ども世帯が遠方に住んでいてすぐに駆け付けることができない場合は特に、近隣住民との関係は良好に保っておくといいでしょう。

 

 

老老介護の解決策

予防していても老老介護をせざるを得ない状況になったときや、これから介護が必要になったとき、介護について相談できる窓口や利用できるサービスをあらかじめ知っていれば、介護の負担を軽減することができます。

地域包括支援センターを利用する

地域包括支援センターは地域の高齢者の生活に関する総合相談窓口です。各市町村に設置が義務付けられており、保健師、社会福祉士、ケアマネジャーといった専門職が配置され、高齢者の生活に関してあらゆる相談ができる窓口です。老老介護や高齢者のご家族の介護について困り事や心配事があれば、一度相談してみましょう。

 

地域によって名称が違う場合がありますので、お住いの市町村名+「高齢者支援センター」「高齢者相談センター」で区役所などに問い合わせてみて下さい。

 

介護サービスの利用

デイサービスや訪問介護など介護サービスをうまく取り入れることで老老介護の負担を軽減することができます。要介護認定を受けている方であれば、介護サービスの内容によっては介護保険が適用され、費用の原則1割(所得に応じて2~3割)を自己負担すれば利用可能です。介護をひとりで抱え込まず、介護サービスを取り入れて負担を減らしましょう。

介護施設への入居を検討する

デイサービスや訪問介護に比べると費用は多くかかりますが、夫婦で入居可能な施設もありますし、介護をプロにお任せすることができるので安心です。費用は施設によって違い、介護保険が適用できる施設もありますので、入居を検討する際はケアマネジャーや各施設へ問い合わせてみて下さい。

 

まとめ

平均寿命が年々伸びている日本では、ほとんどの人が高齢者になってから介護者のお世話になると考えていいでしょう。元気なうちから介護が必要になった時のことをパートナーやお子さんとしっかり話し合っておくと、いざ介護が必要になった時慌てずに対処できます。

少子高齢化にともない、老老介護は今後も増加することが予想されます。高齢になってくると介護をするのも体力的に大きな負担になり、肉体的な疲労と、精神的な余裕がなくなって介護うつになってしまうリスクもあります。

それぞれのご家庭によって状況は異なりますが、一人で抱え込まずに、介護サービスや地域の地域包括支援センターなどの行政を利用して、ご家庭にあった介護のスタイルを探ってみて下さい。この記事が少しでもお役に立てば幸いです。

 

 

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