技能実習制度廃止?~技能実習生によるトラブルと制度変更のポイント~ 

こんにちはOGR事務局です。

 

4月10日外国人労働力のあり方を議論する政府の有識者会議が技能実習制度廃止を求める提言の試案をまとめたというニュースがありました。技能実習制度の何が問題視されたのでしょうか。今回は技能実習生によるトラブルと、有識者会議で提示された変更点についてお話したいと思います。

 

技能実習生によるトラブル

受け入れ企業で実際に起きている技能実習生によるトラブルを見てみましょう。

1.失踪 突然いなくなってしまう

2.人間関係 職場上司やの同僚とのトラブル

3.職場環境の問題 低賃金や長時間労働

4.理不尽なパワハラ

 

失踪問題

ニュースなどでも取り上げられていますが、技能実習生が突然姿を消し、連絡が取れなくなるケースがあります。原因としては低賃金と長時間労働が多いようです。日本での生活になじめない、相談相手がいないという理由や、もっと賃金の高い仕事があると思って失踪してしまうケースがあります。

 

人間関係

職場で上司とうまく意思疎通ができず、トラブルが生じたり、技能実習生同士で喧嘩になってしまうこともあります。技能実習生も同じ国の出身者ばかりとは限りませんので、文化や習慣の違いから喧嘩に発展することもあります。

 

また、日本に来て日の浅い外国人は日本のマナーや交通ルールを理解していないため、日常生活上で近隣住民とトラブルになることもあります。

事前に日本の生活習慣について説明し、理解してもらうことが必要です。

 

 

職場環境の問題

違法な長時間労働や、残業代の不払いなど、低賃金で長時間の労働を強いられる外国人もいます。入国後研修を終えて企業に入社すれば、日本の労働関係法令が適用される一労働者です。賃金は最低賃金以上、労働時間も1日8時間、週40時間以内と定められています。しかし時間外労働や休日出勤があっても賃金を支払わない悪質な受け入れ先も中にはあります。このような事があれば、モチベーションも下がりますし、精神的にも落ち込み、ストレスから健康を害してしまう外国人もいます。

 

理不尽なパワハラ

日本語をまだよく理解できない技能実習生に強い口調で指導すると、叱っているわけではなくでも「怒られた」と感じてしまうこともあるようです。

そのような誤解とは別に、パワハラやセクハラのような人的被害も残念ながら実際にあります。外国では日本よりもハラスメントの意識が高いので、注意が必要です。母国を離れているだけでも心細い状況です。メンタルヘルスにも留意する必要があります。

 

有識者会議による制度の変更点

有識者会議により、技能実習制度の改正が発表されました。制度変更のポイントは以下の通りです。

引用:2023年4月11日日本経済新聞「外国人 転職制限を緩和」より

 

変更のポイント

これまでお話した技能実習生によるトラブルを踏まえて、今回変更が検討されている点について見てみましょう。

①趣旨の見直し「国際貢献」から「労働力確保」へ

「技能実習制度」の趣旨にひずみが出ていたため、「労働力確保」と「人材育成」を両立させる制度へ変更。

②転職

技能実習制度は3年間転職が認められていません。受け入れ側としては採用から入国まで、渡航費や入国後研修の費用など、多額の費用をかけて受け入れていますので、3年間は転職せずにいて欲しいと考える会社がほとんどです。

しかし受け入れ先が違法な長時間労働やパワハラなどがあるブラック企業であった場合、技能実習生は転職することもできず、帰国することもできないため、失踪につながる場合もあり、「奴隷制度」と海外からも批判される理由の一つとなっています。

③不適切な監理団体の排除

母国を離れた外国人実習生を支援するとともに、受け入れ企業の監査も担っているのが監理団体です。技能実習生が不当な扱いを受けた場合は受け入れ企業へ指導したり、受け入れ企業の技能実習生への対応や手続きに悩み事があった場合サポートしたりするのがあるべき姿ですが、中には面接や在留資格の申請までで、入国後のサポートをおざなりにしている質の悪い監理団体も多く存在しています。

 

そこで、転職を「一定の制限内で可能に」し、「不適切な監理団体を排除」するという変更点が盛り込まれています。

 

技能実習制度にかわる新制度への期待

技能実習制度は本来「国際貢献」を目的として始まった制度ですが、開始から30年が経ち、制度の見直しが必要になりました。背景には日本の深刻な少子高齢化と人口減少による人材不足があります。どの業界のどの分野でも「人手不足」なのです。

 

海外からの批判もありましたが、すでに「外国人従業員なしには回らない」という受け入れ企業はたくさんあるのです。生産年齢人口が急激に減少している今、海外から人材を採用することは必須です。今回の有識者会議によって、日本で働く外国人が不遇な目に遭わず、優秀な人材が長く日本で働くことのできる環境づくりに一歩近づいてくれることを願うばかりです。

 

まとめ~監理団体や登録支援機関の重要性~

技能実習生によるトラブルのご紹介から、今回の有識者会議による制度の変更内容についてお話してきましたが、いかがでしたか?政府は有識者会議の中間報告を踏まえて新制度の設計に入り、運用は2024年以降になるようです。

 

これまで悪質な監理団体が多く、不遇な外国人実習生が声をあげても役所は書面上問題なく行われていれば、それ以上追及することはありませんでした。

 

その一端には受け入れ企業と就業する外国人を監査、支援する監理団体や登録支援機関の存在があります。母国を離れた外国人従業員の相談相手であり、企業様の不安や心配事に耳を傾け解決策を探るパートナーとして存在するのがあるべき姿です。中立な立場である必要がありますので、どちらかに問題があればしかるべき行政機関へ連絡することもあります。今回の見直しは監理団体の在り方に一石投じた内容となっています。当機構も気を引き締めて今後もみなさまのサポートに尽力していきます。

 

受け入れ企業さまと日本で働く外国人の方のサポート

当機構では技能実習制度に対応する監理団体「カネタ事業協同組合」と特定技能制度に対応する登録支援機関「入交システムイノベーションズ株式会社」があり、どちらにも対応可能です。

日本の生産年齢人口は減少の一途を辿っています。どのような形にしろ、人員の確保は急務です。他国における海外からの人材確保の需要はますます高まり、日本に来てもらえる外国人材の確保はこれからどんどん難しくなってくことが予想されます。

このコラムで何度もお話していますが、「そのうち」では遅きに失します。ぜひ、「今すぐ」ご相談ください!

 

よりよい職場環境づくり

国籍を問わず、働きやすい職場環境は従業員の定着率向上の重要な要素です。目に見えない問題をストレスチェックによって「見える化」し、結果が出てそのままの「やりっぱなし」ではなく、結果を活用した社員研修や専門家によるカウンセリングによって、状況改善していくことが求められます。

とはいえ、管理職の職員もどのように組織をまとめていくべきか、部下とのコミュニケーションの取り方など、「どうしたらいいのだろう」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。当機構会員の株式会社IDOではストレスチェックだけではなく、管理職向けのオンラインセミナーなど幅広いコンテンツを提供しています。人材の定着や人材育成にお悩みの企業様はぜひ、ご検討ください。

【株式会社IDO】 リンク:https://ido294.com/

 

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